「疲労回復のためにビタミンCとEを摂っている」「風邪予防にマルチビタミンは欠かさない」——健康意識の高いトレーニーほど、抗酸化サプリを習慣にしている人は多い。だが「抗酸化物質は筋トレの効果を鈍らせる」という話を聞いて、不安になったことはないだろうか。
結論
高用量のビタミンC・Eは、筋肥大を狙う若いトレーニーの「バルクアップ期」には逆効果になり得る。一方、高齢者や筋力低下が気になる人には、むしろプラスに働く可能性がある。「抗酸化サプリ=悪」ではなく、目的と対象で答えが変わるというのが最新研究の結論だ。
研究①
Liuら(2025, Medicine, PMID: 40859523)は、サルコペニアを持つ60〜75歳の女性60名を対象に、12週間の弾性バンドを使ったレジスタンストレーニングを実施しながら、ビタミンC(1000mg/日)とE(335mg/日)またはプラセボを摂取させた。結果、膝伸展筋力はサプリ群のほうがプラセボ群より有意に大きく改善した。筋肉が弱っている高齢者では、抗酸化サプリが筋力向上を後押しする可能性がある。
研究②
Bjørnsenらの二重盲検RCT(2022, PMID: 36283241)は、トレーニング経験のある若い男性23名を対象に、10週間のレジスタンストレーニングとカロリー過剰摂取(+300kcal/日)を組み合わせた「増量期」に、ビタミンC・Eまたはプラセボを摂取させた。結果、サプリ群は上半身の筋力・筋肥大の伸びが鈍った。一方で、増量による内臓脂肪の増加は抑えられていた。筋肥大を最優先する時期の高用量抗酸化サプリは、諸刃の剣だ。
研究③
Wangら(2025, Scientific Reports, PMID: 41038909)による39件のRCT・1714名を統合したメタ分析では、55歳以上を対象に抗酸化物質単体の効果を検証。レッグプレスの1RMと身体機能が有意に改善した。対象は主に高齢者で、健康な若年トレーニーへの一般化はできない点に注意が必要だ。
今日からやること
- 食事由来のビタミンC・E(野菜・果物・ナッツ)は気にせず摂ってよい
- 筋肥大を最優先する増量期は、高用量サプリ(C1000mg超・E400IU超)を避ける
- 摂るなら筋トレ直後を避け、朝食など時間をずらす
- 高齢の家族の筋力維持が目的なら、医師に相談のうえ併用を検討してもよい
- 「とりあえず抗酸化サプリ」という思考停止をやめ、目的から逆算する
注意点
各研究は対象年齢・用量・トレーニング内容が異なり、単純比較はできない。上記の「悪影響」は主に高用量サプリでの話であり、通常の食事摂取量とは別物だ。個人差も大きく、絶対的な結論ではない。
理想のからだを、知識で。
サプリは「摂れば得」ではない。抗酸化サプリも同じく、タイミングと目的次第で薬にも足かせにもなる。知識のない摂取は、努力を静かに削っていく。
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**参考文献**
- Liu X et al. *Medicine (Baltimore).* 2025 Aug; PMID: [40859523](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40859523/)
- Bjørnsen T et al. *Am J Physiol.* 2022; PMID: [36283241](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36283241/)
- Wang Y et al. *Sci Rep.* 2025; PMID: [41038909](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41038909/)

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