「アイスバスは筋肥大を妨げる」という話を聞いてから、代わりにサウナで整えている人も多いはずだ。だが「サウナも実は逃げ場にならないのでは」と不安に思ったことはないだろうか。忙しい社会人トレーニーにとって、回復に使える時間は限られている。今回は筋トレ×サウナ・温熱回復に関する最新研究3本を読み解く。
結論
サウナはアイスバスのように筋肥大を妨げる証拠はない。ただし「サウナで筋肉が増える」という過度な期待も禁物。今のところ「回復を邪魔しない、気持ちよく使えるツール」という位置づけが最も正確だ。
研究①
Ahokasら(2025, Front Sports Act Living, PMID: 40104529)は、女性アスリート40名を対象に6週間の筋力・パワートレーニングを実施し、トレーニング後に赤外線サウナ(IRS)を使う群と使わない群を比較した。結果、両群とも筋肥大は同程度進行し、DXA・超音波で測定した筋量に有意差はなかった。むしろサウナ群は負荷付きカウンタームーブメントジャンプの高さ・パワーで有意な改善(p=0.002、p=0.010)を示した。サウナは筋肥大を邪魔せず、爆発的な動作能力を後押しする可能性がある。
研究②
同じ研究チームによる追跡研究(Ahokasら, 2025, Temperature誌, PMID: 40926789)は、同じ6週間の中でサウナ後のコルチゾール(ストレスホルモン)の変化を追跡した。トレーニング初期はサウナ後に唾液コルチゾールが上昇したが、6週間繰り返すうちにその上昇幅は縮小し、最終セッションではほぼ変化しなくなった。体がサウナという熱ストレスに「慣れる」ことで、ホルモン面の負担も下がっていくことが示された。
研究③
2025年に発表された系統的レビュー(PMID: 41032138)は、筋力・パワー・筋肥大を目的とした場面でのサウナ・温熱回復に関する研究を統合評価した。結論として、現時点のエビデンスは限定的かつ中立的で、ベンチプレスやジャンプパフォーマンスへの明確な上乗せ効果は確認されなかった。一方で悪影響を示すデータもなく、持久系パフォーマンスでは繰り返し使用による適応の可能性が示唆された。
今日からやること
- 筋トレ後のサウナは「罪悪感なく」続けてOK。筋肥大を妨げる根拠はない
- 週2〜3回、10〜15分を目安に習慣化し、体を熱ストレスに慣らす
- 「筋肉を増やす手段」ではなく「リラックスと血流促進の手段」として位置づける
- アイスバスと違い、レジスタンストレーニング直後でも使いやすい
- サウナ後は水分・電解質補給を忘れない
注意点
研究対象の多くは女性アスリートや少人数サンプルであり、一般男性トレーニーへの当てはめには注意が必要。長時間・高頻度の利用は脱水や過度な心血管負荷につながるリスクもある。持病がある場合は医師に相談を。
理想のからだを、知識で。
サウナは筋肉を育てる魔法ではない。だが、罪悪感を持たずに使える回復習慣として、科学は「悪くない」という答えを出し始めている。
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**参考文献**
- Ahokas EK et al. *Front Sports Act Living.* 2025; PMID: [40104529](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40104529/)
- Ahokas EK et al. *Temperature.* 2025; PMID: [40926789](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40926789/)
- PMID: [41032138](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41032138/) *Sports Med Open.* 2025

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