「毎日6時間睡眠でギリギリ」「トレーニング前に眠くてやる気が出ない」——社会人トレーニーの多くが睡眠不足を抱えたままジムに向かっている。夜の睡眠時間を今日から増やすのは難しくても、日中の「仮眠」なら今日から試せる。2025年以降の研究は、その効果を具体的な数字で示している。
結論
昼の仮眠は、たとえ夜に通常通り眠れていても、疲労感・主観的なきつさ・回復感を改善し、トレーニングの質を底上げする。理想は30〜90分だが、15〜35分の短い仮眠でも効果は期待できる。
研究①
BenSalem et al.(2025, J Sports Sci, PMID: 39965883)は、女性アスリートを対象に、睡眠制限後の「仮眠なし」「40分仮眠」「90分仮眠」をクロスオーバー比較した。90分仮眠は40分仮眠よりも、身体パフォーマンス・注意力・気分・回復感の改善と、疲労感・痛み・筋肉痛・主観的運動強度の低減において優れていた。通常の睡眠をとれた夜の翌日でも、この効果は確認された。
研究②
Boukhris et al.(2025〜2026, PMID: 41668951)は、アスリートおよび運動習慣のある人489名を含む35研究を統合したシステマティックレビュー・メタ分析を実施した。通常の睡眠を取った状態での仮眠は、気分の落ち込み・疲労感・運動中と運動後の主観的運動強度を有意に軽減し、回復感を有意に高めた。ただし睡眠不足の状態での仮眠では、眠気や疲労感への効果は確認されず、「寝不足の埋め合わせ」より「普段の質の底上げ」に向いていることが示唆された。
研究③
Teece et al.(2023, Sleep, DOI: 10.1093/sleep/zsad133)は、プロラグビー選手15名を対象に、平均35分の日中仮眠の効果をクロスオーバー試験で検証した。仮眠を取った日は午後の6秒間ピークパワーが向上し、運動中の主観的きつさが低下、疲労感と筋肉の張りも改善した。短時間の仮眠でも、パワー系トレーニングの質に直接的な効果があることを示す結果だ。
今日からやること
- 昼休みや移動前後に15〜30分の仮眠を予定に組み込む
- 可能なら90分程度の仮眠が理想だが、時間がなければ短時間でも実施する
- 仮眠は15時までに済ませ、夜の睡眠に影響しないようにする
- アラームを設定し、深い睡眠に入りすぎて起床後にだるくなる「睡眠慣性」を避ける
- トレーニング前の一杯のコーヒーより先に、仮眠という選択肢を試してみる
注意点
効果の確からしさ(エビデンスの確実性)は、疲労や主観的運動強度など一部の指標では中程度だが、その他の多くの指標では低い〜非常に低いと評価されており、個人差も大きい。仮眠が夜の不眠につながる人は無理に取り入れず、生活リズム全体で判断すべきだ。
理想のからだを、知識で。
「今夜からもっと寝る」が難しくても、「今日15分だけ昼寝する」ならできる。小さな仮眠の習慣が、トレーニングの質を静かに底上げする。
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**参考文献**
- BenSalem S et al. *J Sports Sci.* 2025 Mar; PMID: [39965883](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39965883/)
- Boukhris O et al. PMID: [41668951](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41668951/)
- Teece AR et al. *Sleep.* 2023 Dec; DOI: [10.1093/sleep/zsad133](https://doi.org/10.1093/sleep/zsad133)

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