増量期は「だらだら食べ」をやめるとき——最新研究が示す食事タイミングの新常識

「増量中だから」と、朝から晩まで何度も食事やプロテインを口にしていないだろうか。体重を増やすには食べる量を増やすしかない、食べる回数も多いほどいい——そう信じている社会人トレーニーは多い。だが2025〜2026年の最新研究3本は、増量期の「食べ方」にはもっと自由度があることを示している。

結論

増量期でも食事の時間を絞ってよい。食べる時間帯を短くしても、1日の総摂取カロリーとタンパク質量、レジスタンストレーニングの質さえ確保できれば、筋肉と筋力はきちんと育つ。むしろ食べる時間を絞ることで、増量期にありがちな余分な脂肪の蓄積を抑えられる可能性がある。

研究①

Gavanda et al.(2026, J Nutr, PMID: 42442697)は、レジスタンストレーニング経験者を対象に、週3回の筋トレを12週間継続させながら、1日あたり300〜500kcalの摂取カロリー増量(バルク)を指示するRCTを実施した。増量期は一般に食事回数が多く食事時間帯も長くなりがちだが、食べる時間帯を絞った「タイムリストリクテッド・イーティング(TRE)」を行った群は、通常の長い食事時間帯の群と比べて体脂肪の増加が抑えられた一方、筋肉量と筋力の伸びは同等に維持された。「増量=だらだら食べ続ける」は必須条件ではない。

研究②

Tavares et al.(2025, J Sports Med Phys Fitness, PMID: 40673785)は、若年のレジスタンストレーニング経験者32名を対象に、1日の総タンパク質量をそろえた上で「3食」に分けて摂るか「5食」に分けて摂るかを比較する8週間の介入試験を行った。除脂肪量と筋力の伸びに関して、食事回数による明確な優劣は見られなかった。タンパク質は「何食に分けるか」より「1日にどれだけ確保できているか」の方が重要だという結果だ。

研究③

Zhang et al.(2026, Front Nutr, PMID: 42421917)は、断続的断食(IF)とレジスタンストレーニングを組み合わせた研究11本・303名分のデータを統合した多水準メタ分析を実施した。最大筋力・筋持久力・部位別の筋肥大指標・瞬発的パフォーマンスのいずれにおいても、IFを組み合わせた群と組み合わせない群のあいだに明確な差は見られなかった(g=0.09、95%信頼区間 −0.23〜0.40)。トレーニングと栄養が適切に確保されている限り、断続的断食を増量期に取り入れても筋トレの成果を損なう明確な根拠はないと結論づけている。

今日からやること

  • 増量期でも食事の時間帯を「8〜10時間」程度に絞ってみる
  • 食事回数にこだわらず、1日の総タンパク質量(体重1kgあたり1.6〜2.0g)を先に確保する
  • 摂取カロリーの上乗せ分は300〜500kcal程度から始め、体重・体脂肪の変化を週単位で確認する
  • 空腹の時間帯があっても焦らない。筋トレの強度と総摂取量が保たれていれば問題ない
  • 「食べる回数を増やす」より「筋トレの質を落とさない」ことに意識を向ける

注意点

これらの研究は健康な成人・トレーニング経験者を対象としたものが中心で、断食に不慣れな人や低血糖になりやすい人には食事時間の制限が向かない場合がある。またIFのメタ分析は研究数・対象者数がまだ限定的であり、今後の検証が必要な段階だ。「時間を絞れば絞るほど良い」わけではなく、無理のない範囲で継続できる設計が最優先になる。

理想のからだを、知識で。

増量期の主役は「食べる回数」でも「食べる時間の長さ」でもなく、1日の総量とトレーニングの質だ。時間を絞る自由を知っているだけで、増量期はもっと身軽に、もっと戦略的に進められる。

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**参考文献**

  • Gavanda S et al. *J Nutr.* 2026 Jul; PMID: [42442697](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42442697/)
  • Tavares H et al. *J Sports Med Phys Fitness.* 2025 Oct;65(10):1337-1345. PMID: [40673785](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40673785/)
  • Zhang M et al. *Front Nutr.* 2026 Jun; PMID: [42421917](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42421917/)

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