「毎回しっかり追い込んでるのに、思ったほど筋肉がついてる気がしない」「セット数は多ければ多いほど伸びるはず」——そう信じて、闇雲にセット数を積み増していないだろうか。実は”多ければ多いほど良い”は、最新研究では否定されつつある。
結論
2025年の大規模メタ解析によると、筋肥大は週のセット数を増やすほど伸びる曲線を描くが、その伸びは徐々に頭打ちになる(diminishing returns)。しかも同じボリュームでも、週1回に集中させるより週2回以上に分けた方が伸びやすい。すでに十分な量をこなしている人がさらにセット数を積んでも伸びは頭打ちになりやすい一方、伸び悩んでいる人は量を増やすことで再び伸び始める。答えは「もっとやる」ではなく「正しく配分する」ことにある。
研究①
2025年12月、Sports Medicine誌に掲載されたメタ回帰分析(Pelland et al.)は67本の研究・2,058人分のデータを統合し、週あたりのセット数と頻度が筋肥大・筋力にどう影響するかを解析した。結果、セット数を増やすほど筋肥大・筋力は伸びたが、その伸び方は直線ではなく徐々に頭打ちになる曲線を描いた。また同じ総ボリュームでも、週2回以上に分割した方が週1回に集中させるより効果が高い傾向が示された。実践への意味:セット数を際限なく増やすより、週2〜3回に分けて刺激を入れる方が効率が良い。
研究②
2024年、Journal of Applied Physiology誌に掲載されたRCTでは、すでにトレーニング経験のある男性29人を対象に、それまでの週間セット数を30%(G30)または60%(G60)増やした群と、そのまま維持した群(CON)を8週間比較した。結果は、セット数を大幅に増やした群が維持群を上回ることはなく、大腿の筋厚・除脂肪量の増加は維持群と同等かそれ以上だった。実践への意味:すでに十分なボリュームをこなしている人が量だけを増やしても、必ずしも結果には結びつかない。
研究③
同じく2024年のJournal of Applied Physiology誌の研究では、週1セットという低ボリュームに反応しなかった高齢者を対象に、片脚は週1セット、もう片脚は週4セットで10週間トレーニングする片脚比較デザインを実施。結果、低ボリュームでは伸びなかった脚が、セット数を増やした脚では筋断面積・筋力ともに有意に向上した。実践への意味:伸び悩んでいるなら、まず疑うべきはボリューム不足の可能性。停滞の初期段階では量を増やす価値がある。
今日からやること
- 1部位あたり週10〜20セットを目安に、まず今の量を数えてみる
- 種目を週1回に集中させず、週2回以上に分けて刺激を入れる
- 停滞したら闇雲に増やす前に、フォームと追い込み度をまず見直す
- 量を増やす場合は一気に倍にせず、数週間かけて少しずつ足す
- 8週間ごとに記録を振り返り、伸びが止まった変数(量か頻度か)を特定する
注意点
今回の研究は主に健康な男性・高齢者を対象にしたもので、個人差や種目・部位による反応の違いはすべてを説明できていない。セット数を急に増やすと回復が追いつかず、ケガや慢性的な疲労につながるリスクもある。「量を増やせば必ず伸びる」わけではなく、睡眠・栄養・回復とセットで考える必要がある。
理想のからだを、知識で。
今日のセット数、まずは数えてみよう。
参考文献
- Pelland JC, et al. The Resistance Training Dose Response: Meta-Regressions Exploring the Effects of Weekly Volume and Frequency on Muscle Hypertrophy and Strength Gains. Sports Med. 2025. PMID: [41343037](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41343037/)
- Training volume increases or maintenance based on previous volume: the effects on muscular adaptations in trained males. J Appl Physiol. 2024. PMID: [39665246](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/39665246/)
- Higher resistance training volume offsets muscle hypertrophy nonresponsiveness in older individuals. J Appl Physiol. 2024. PMID: [38174375](https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/38174375/)

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